エコツーリズムとITの融合へ、 未来への投資 ① 「学園都市」構想のメリットとリスク

——猪塚さん、vKiriromはカンボジア・コンポンスプー州の国立公園内にある観光地として人気上昇中で、敷地内にあるキリロム工科大学には、日本の高校を卒業した学生も迎えています。猪塚さんが目指すIT学園都市について、改めて教えてください。

 はい。カンボジア人の私の友人の間では我々のキリロムのプロジェクトは日本政府とカンボジア政府をつなぐものですねと言われておりますが、我々は純粋に民間のビジネスとしてやっていましたし、日本政府からは補助金などいただいておりません。

 我々の本社はシンガポールにあり、今年の4月までは日本に子会社さえありませんでした。思いがけず、2016年のカンボジア開発評議会の統計データに我々のプロジェクトが日本からの投資として計上され、結果としてその金額が日本からの投資額の60%を占め、さらには日本と中国の投資額が肩を並べるという表現をされるようになりました。

 しかし、この統計は投資額(結果)ではなく未来への投資承認額なのです。我々のプロジェクトはカンボジア政府より将来計画の承認を得なければスタートできません。我々は熟慮の結果として 20年後に目標としている事業の姿を公開することにしました。このことにより大ボラ吹きとか詐欺師とか言われるのはとても心が痛いです。

 我々は、カンボジア政府との約束を果たさなければならないので承認された事業をこれから20年かけて推進していきます。そして今回承認された金額の大半を占めているのがvKirirom Nature Cityと我々が名付けている「エコツーリズムをベースとしたIT学園都市」に建築される予定の建物なのです。この建物は我々も自己資金で建築しますが、それだけではカンボジア政府との約束を果たすことはできませんのでお客様にもエコツーリズムのルールを厳格に守った上でご建築いただくことになっております。

——なるほど。民間投資でつくりあげる壮大な計画なのですね。そうなると、投資家には当然リスクもある、と。

 建物を建てていただく方には、弊社との間で契約書を結んでいただいております。他のカンボジアの不動産と違うところはサブリースなので登記簿がないこと、我々自身が需要創造を担っているので我々の事業がうまくいかないと価値が下がる可能性があるというリスクがあります。

 しかし、カンボジアの他の不動産と違って過剰供給のリスクが少なく、賃料が高止まりするというメリットもあります。現在学生寮オーナープログラムという形で41軒の不動産をご契約いただいておりますが、39軒が満室で稼働率95%、さらに残りの2軒も弊社のvKirirom Pine Resortでホテルとして土曜日には貸し出しております。

 また、 現在キリロム工科大学が急成長中ですので、弊社の需給予測が多少間違ったとしてもその後の供給をストップすればすぐに稼働率は元の90%以上のレベルに戻ります。我々の学生寮の物件は本来はリゾートで活用できるものを学生寮として転用しているものですし、リゾートにすみたい方も多いと思うのでご自身でお住まいいただくことを最終目的としています。

 我々の学生寮オーナー物件は、ご自身でお住まいになるまでの間キリロム工科大学にお貸しください、家賃を6%〜9%、最低でも9年間お支払いしますというプログラムなのです。ですので、よく比較される日本のリースバック物件と違って、一年前告知でオーナー側からいつでも契約解除できる一方で、我々側からは9年間解約できない。そして、賃料の変更はでできないようになっているのです。夢のような話ではなくて、通常の不動産のような部屋が埋まるかどうかという需要リスクはない代わりに、弊社の事業が計画通りいくかどうかという事業リスクがある不動産なのです。

——投資家の皆さんは、こうしたリスクとメリットをしっかりと理解して参加されているということですね。

 はい。投資家への説明だけでなく、弊社は外部への透明性を担保するために、売上がほとんどなかった頃から外部監査を受けております。その証拠に世界4大監査法人の1社であるDeloitte社が毎年開催している監査済のテクノロジー企業の3年間の成長率ランキングでAPACで28位となっています。監査には費用もかかりますので、売上が1000万円くらいしかない頃から監査を受けているという弊社のスタンスをご理解いただければと思います。

 そしてもう一つのポイントがなぜ「テクノロジー企業」のランキングにエコツーリズムや 学校をやっている弊社が応募しているのか? という点です。我々はもちろんツーリズムでも大学でも不動産でも利益を出しますが、最大の企業価値は森の中の巨大なCo-Living Spaceが生み出すITプロダクトになると考えています。

 キリロム工科大学は、8月30日から9月1日にプノンペンで開かれる国際的なベンチャー企業の交流イベント、WAOJE Global Venture Forumのダイヤモンドスポンサーとして講師集めや集客で大きな貢献をしております。現在35名いる株主にWAOJEばっかりやってないで仕事しろと言われないためにも、学生寮オーナーになっていただける方が1人でも増えると嬉しいです。

 我々の事業を有望だと思った方やキリロム工科大学を応援しようとお考えになる方には、是非学生寮オーナーとなっていただいて、我々のコミュニティーに参加していただければと思います。

(このインタビュー記事は次号へ続きます)

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猪塚武

About 猪塚武

キリロム工科大学学長、vKirirom Pte. Ltd. CEO、 一般社団法人WAOJE 代表理事

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