バレンタイン・キッス

 私とKISSESチョコとの出会いは1歳の頃。トイレトレーニングが上手くいくと、一粒もらえたのだ。チョコの形からしても、ちょっと両親の悪ふざけが過ぎたのではと思う一方、なかなか趣のあるご褒美であった。三つ子の魂百まで、私のチョコレート好きのルーツはここにある。

 今回は、そんな長年の付き合いであるこのチョコで、キスチョコクッキーを作りました。クッキー生地にチョコを丸ごと1粒(まるでハート1つ)包み込んだこのお菓子、超絶直球なメッセージを孕んでいるようで、まるでHARD ROCKなスイーツだなと思う。いくつになってもやっぱり、頬張った途端にガリっと砕ける口当たりに、ニンマリしてしまう。

 プノンペンで一番ROCKを楽しめる場所といえば、昨年オープンしたHard Rock Cafe。5回程訪れたことがあるが、パフォーマーは毎回フィリピン人である。カンボジアにも素晴らしい音楽文化・歴史がある(特に60s)のだから、カンボジアの若者も、地方州行きのバスの道中でかけられているようなセンチメンタルなバラードばかりではなく、もっとROCKして欲しいなあと思う。

 この季節でROCKなヤツといったら、私の妹である。真っ赤なハートと真っ黒なチョコレートで、街が狂ったように埋め尽くされる2月、世の学生たちはテスト期間に入る中、彼女は2月14日の儀式に向けて愛に猛進するのであった。暇を持て余した学生時代の私は、妹が彼氏に渡すチョコレート菓子を裏方でせっせと手伝うのが恒例となっていた。幼い頃からおませだった5歳年下の妹に比べ、特段ロマンティックな経験もしてこなかった私にとって、会ったこともない妹の彼氏を想像しながらチョコレートを作り、乙女なピンク色で装飾を施していく作業は実に奇妙でありながらも、恋愛に対する想像力だけは鍛えられた、ちょっと切なくも可笑しい思い出だ。そんな妹も、今では東京にある母の菓子店を継いで、この季節だけではなく、一年中お客様を幸せにするお菓子を作っている。(“FUMIZ KITCHEN”で検索ください

The following two tabs change content below.
中村 典

中村 典

カンボジア在住歴4年。 料理研究家の母から学んだ懐かしいお菓子たち。美味しい食べ物で、人を幸せにし、人の思い出を彩るようなライフワークを実現するため、目下修行中。 詳しいレシピはFBからご覧いただけます!
中村 典

About 中村 典

カンボジア在住歴4年。 料理研究家の母から学んだ懐かしいお菓子たち。美味しい食べ物で、人を幸せにし、人の思い出を彩るようなライフワークを実現するため、目下修行中。 詳しいレシピはFBからご覧いただけます!

View all posts by 中村 典 →

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です